月組エリザベートを観劇して②
なんと、本日東宝から
2019年 帝国劇場でミュージカル 『 エリザベート』の上演決定のニュースが!!!
そして、主演のエリザベートを
前回公演から引き続き花總まりさんと
先月、宝塚歌劇団を退団したばかり(つい最近までエリザベートを演じていた)
月組 トップ娘役 愛希れいかさんが演じられると発表されました。
正直、版権の関係で
2018年に宝塚歌劇団でエリザベートを上演=2019年に東宝でもエリザベートを上演するのではないかな、と考えていました。
そして、もし2019年に『エリザベート』を帝国劇場で上演するならば
愛希れいかさん以外いないな、と思っていました。(タイミングとして、今上演するなら愛希さんが勢いといい、ドンピシャだと思いました)
なので、思ったより驚きも、衝撃もうけなかったのですが
宝塚歌劇団でエリザベートを独占してしまっている気がして宝塚歌劇のファンではない方はどう思っているのだろうと不安になってしまったり……
エリザベートという素晴らしいミュージカルのキャストを宝塚歌劇団のOGでうめてしまっていいのか、と思ってしまったり……していました。
愛希れいかさんが再びエリザベートを帝国劇場で演じることはとても嬉しく、楽しみなのですが、やっぱり、新妻聖子さんや知念里奈さんが演じるエリザベートも観てみたいです。(FMS歌謡祭すごかった)
もやもやした話を綴ってしまい、申し訳ありません。
どうせ、公演するなら観劇した皆様から素晴らしかったね!と褒めて頂けるミュージカルを。
そして、それをきっと愛希さんなら出来るはず!!!と信じて
宝塚歌劇団で公演したエリザベートとまた違ったアプローチでの主役エリザベートを演じる愛希さんを楽しみに待ちたいと思います
前置きが長くなりすみません。
それでは、先日投稿した月組 エリザベート観劇の感想を綴りたいと思います。
前回はフランツ・ヨーゼフ1世が好きすぎて、フランツ・ヨーゼフ1世を演じた美弥るりかさんの演技について熱く、そして長く綴ってしまったのですが、
今回はエリザベート暗殺犯 ルキーニを演じた月城かなとさんと
ラウシャーを演じた、月組のベビーフェイス 千海 華蘭さんについて書きたいと思います。
文章が長くなりますが、もしよろしければお付き合いください。
まず、暗殺者ルキーニを演じた 月城かなとさん。
物語の狂言回しの役を担っています。
癖のある話し方でもなく、今までの宝塚歌劇団で上演されたエリザベートのルキーニとしては地味、おとなしい役作りでした。
ただ、それはルキーニの二面性をとても表しており、一見普通に見える青年に狂気が秘められており、その狂気は最後のエリザベート暗殺のシーンで放出され、とても二面性の強いルキーニだったと思います。
実際のルキーニは恵まれない家庭で育ったにも関わらず、幼いころから優秀、大人になってからも有能な兵士だったとのことで、一見地味に感じるのはその部分を重視した演技だったからではないかと考えました。
(しかし、下手で話していないときは爪をずっと噛んでいたので、人前に出ないときに現れる癖でルキーニの情緒不安定さ、苛立ちを表現していたのかなと思います。)
特に印象に残っているは第1幕第16場 ウィーンの街頭。
有名な「ミルク」の場面で、ルキーニが飢えた民衆にミルクの配給するシーンです。
民衆がミルクがないことを詰ると「ないものはないんだ!!」と月城ルキーニは驚くほどの声で怒鳴りつけます。
私が知っていたこれまでの宝塚歌劇団で上演されたルキーニはこのセリフを民衆に対して茶化したり、「仕方ないだろ?ないものはないんだからさ……」というような印象を受ける、ミルク不足を他人事に感じていたのに対し、
月城さんの場合「ミルクが欲しいって!?!?!ないものはないのにどうしろっていうんだ!!!」という感じで、ミルク不足を自分事にとらえた演じ方だったと思います。
実際のルキーニは、働きもせず、国民の税金で豪華に暮らす王族を激しく憎んでいたそうなので、皇后の役目を拒否し、妻として母としての役目を放棄したエリザベートは憎悪の対象に入り、ミルク不足の問題も他人ごとではなく自分の出来事の一つとして扱ったのではないかと考えました。
また、第1幕第5場で、クリミア戦争の情勢について、革命の鎮圧に手を貸してくれたロシア側について参戦すべきと進言を受けるも、戦争に対して中立の立場を取り、
母ゾフィーの「幸運なオーストリアは結婚を」と縁談に向かうシーンではルキーニは舞台下手ですこぶる悪い笑顔であざ笑っていました。
月城さんは目をむく、にらみつける等 目の演技がとても多く、特にエリザベートとフランツに対して多く見られたように感じました。
民衆の持つ問題を共に抱え、考えるルキーニだったと思います。
とても新鮮でおもしろいルキーニでした。
次に千海 華蘭さん演じるラウシャー。
時間の経過とともに老いていく演技がとても素晴らしかったです。
第2幕第6場なんて、いつ亡くなってもおかしくないくらいよぼよぼで、芝居技巧者だと感じました。
特に千海さんのラウシャーが素晴らしかったのは、終始エリザベートに対して敵視を抱いていたところです。
第2幕第3場のゾフィーに娼婦の宅配の許可を受け、一旦下手袖にはけるときの顔が本当に恐ろしくて……。
何の感情も持たないような……。
舞台からはける最後まで演技を続けられているのだな、と当たり前のことかもしれませんが、本当に感動しました。
観劇から時間が経ち、私の記憶と憶測で感想を書いてしまっているので、事実と多少異なるところがあるかもしれませんが月組エリザベートとても面白かったです。
こんなエリザベートもできるんだよ、と芝居の月組から言われた気がします。